6月5日に発表された米5月雇用統計は、非農業部門就業者数が 予想(22.5万人)を大幅に上回る28.0万人増と昨年12月の32. 9万人増加以来の高水準となりました。4月の就業者数が22.1万 人増へ速報値から2千人減少した一方、3月は速報値の8.5万人 増から11.9万人増へと3.4万人上方修正されました。 労働年齢人口に占める雇用者数の割合も2009年6月以来の高水準 まで上昇するなど、労働需給が引締まりつつあることが確認され ました。一方で失業率は5.5%と前月の5.4%から上振れしましたが、 労働参加率が59.4%と前月の59.3%から上昇したことで、労働市場 の改善を背景に積極的に求職意欲上昇の表れとして、むしろポジ ティブな材料として捉えられました。 さらにFRBが既に完全雇用と想定する失業率が5.2%から5.0%、こ の水準に近づくと賃金が上昇する傾向があるといわれていますが、 完全雇用には未達ながら、今年の失業率は月平均で5.52%と雇用が 確実に改善されていることが明らかとなっています。さらに時間 給賃金も前月の+0.1%から+0.3%へ改善したほか、対前年比でも +2.3%と2013年8月以来の高い伸びとなりました。失業率の継続的 な改善が時間給賃金の上昇に波及している兆候が見られます。 消費者信頼感指数などで有名な米調査会社コンファレンスボード では、「2015年中に賃金上昇はさらに加速するだろう」との見通 しを発表しています。注目すべきは賃金上昇がGDPの約7割を占め る個人消費に波及するかという点だと思います。昨年10月以降の 原油安によるガソリン価格の低下にもかかわらず、価格低下によ って節約できた資金は消費に向わず貯蓄に回り、足許での貯蓄率 が上昇する結果となりました。今後、賃金の上昇が個人消費の回 復につながるか注目されます。
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2015年6月9日火曜日
6月5日のアメリカ米雇用統計の結果
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