2015年6月9日火曜日

6月5日のアメリカ米雇用統計の結果

6月5日に発表された米5月雇用統計は、非農業部門就業者数が
予想(22.5万人)を大幅に上回る28.0万人増と昨年12月の32.
9万人増加以来の高水準となりました。4月の就業者数が22.1万
人増へ速報値から2千人減少した一方、3月は速報値の8.5万人
増から11.9万人増へと3.4万人上方修正されました。

労働年齢人口に占める雇用者数の割合も2009年6月以来の高水準
まで上昇するなど、労働需給が引締まりつつあることが確認され
ました。一方で失業率は5.5%と前月の5.4%から上振れしましたが、
労働参加率が59.4%と前月の59.3%から上昇したことで、労働市場
の改善を背景に積極的に求職意欲上昇の表れとして、むしろポジ
ティブな材料として捉えられました。





さらにFRBが既に完全雇用と想定する失業率が5.2%から5.0%、こ
の水準に近づくと賃金が上昇する傾向があるといわれていますが、
完全雇用には未達ながら、今年の失業率は月平均で5.52%と雇用が
確実に改善されていることが明らかとなっています。さらに時間
給賃金も前月の+0.1%から+0.3%へ改善したほか、対前年比でも
+2.3%と2013年8月以来の高い伸びとなりました。失業率の継続的
な改善が時間給賃金の上昇に波及している兆候が見られます。

消費者信頼感指数などで有名な米調査会社コンファレンスボード
では、「2015年中に賃金上昇はさらに加速するだろう」との見通
しを発表しています。注目すべきは賃金上昇がGDPの約7割を占め
る個人消費に波及するかという点だと思います。昨年10月以降の
原油安によるガソリン価格の低下にもかかわらず、価格低下によ
って節約できた資金は消費に向わず貯蓄に回り、足許での貯蓄率
が上昇する結果となりました。今後、賃金の上昇が個人消費の回
復につながるか注目されます。